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魅力的な屋根


少し前のことになりますが 日本民家園に行ってきました。
日本民家園は私の事務所から近い生田緑地にあり 各地の古民家を園内に移築している野外博物館です。
民家の間取りは「土間」「板の間」「座敷」という3つの空間から構成されているのが一般的で 広さの違いはあれど基本は同じです。
興味深いのは屋根で 同じような間取りでも「切妻」「入母屋」「寄棟」などの形の違いがあり 中には複数の屋根を組み合わせたものもあります。

今日はその中から特に興味深かったものをご紹介します。

この家(上写真)は千葉県九十九里に所在していた「作田家住宅」(国指定重要文化財)。
分棟型で 2つの建物が軒を接するように見える部分にはクリの丸太をくり抜いた大きな雨樋があります。
下の写真がその部分で 竪樋ももちろん木。
地面に雨水が放出され枡となる部分は 石で囲んだ単なる窪みになっています。

建物の設計を生業とする身としては こういう納まりは非常に気になります。
雨漏りの可能性がありますからね。
ただ この当時はまだガラス窓や断熱材などはもちろんなく 気密性はゼロ。
現代の目から見るとかなりおおらかなつくりで その素朴さが魅力的でちょっと羨ましくなります。

屋根は茅葺きで 棟は瓦です。
内部はまさに陰影礼賛といった感じ。
暗すぎて撮れませんでしたが 曲がりくねった松の梁が見事に組まれています。
海岸に近い地域の松は曲がるようです。

次は 山梨県甲州市に所在していた「広瀬家住宅」(神奈川県指定重要文化財)。
単純な切妻屋根ですが 軒の低さが美しい。
山の斜面に建っていたそうで 風で煽られるのを防ぐ目的と思われます。

棟には土を入れ イワヒバを植えているそうです。
このような棟は「芝棟」と呼ばれ 重さで吹き飛ばされるのを防いでいます。
素朴なあり方が魅力を感じさせます。

次は 茨城県笠間市に所在していた「太田家住宅」(国指定重要文化財)。
写真ではよく見えませんが 最初の「作田家住宅」と同じく分棟型で間に大きな雨樋があります。

中に入ると様子がよくわかります。
丸太の梁の間に雨樋が吊られています。
雨樋は外にあるのがふつうと思いきや この家では完全に室内にありますね。
詰まると家の中に雨水があふれたそうです。


最後は 神奈川県川崎市に所在していた「清宮家住宅」(神奈川県指定重要文化財)。
近くの登戸に建っていたそうです。

寄棟造りの屋根は芝棟で イチハツ(アヤメ科)が植えられています。
5月に花が咲くそうですが その姿を想像すると微笑ましくなりませんか。
私は緑を取り込んだ住宅を設計していますが かなりグッとくるものがあります(笑)。

園内には二十余棟の民家があります。
生田緑地は緑豊かな場所ですので 気候のいい時にお出かけになられると楽しさ倍増です。
この日は晩秋で メタセコイアがきれいに色づいていました。


(初出  2016年1月7日 建築ねじまき団がゆく。

村田淳建築研究室
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